心が風邪をひいた日

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心が風邪をひいた日

秋にはどんな音楽が似合うでしょう。

仕事をしながら流すBGMを選びながら、じつは事務所には音源を流すものを
持ち込んでいないのは、聴きすぎてしまうからである。

パソコンを使ってする作業には、当然パソコンからの音源を求めている。
そこで久しぶりに青春時代に通り過ぎた一枚のLP音源を見つけたのです。

1975年と言うから、17歳の僕らが必ず通り過ぎたのが”太田裕美”という時代
の女の子でした。
当時はフォークもロックも選べた頃、ギターやベースを持って登校していた頃の
誰もが、じつは静かに太田裕美を聴く時間を持っていた。

美しい歌詞と美しい曲、憧れのピアノ、舌ったらずの声は音楽をするしないに
係わらず理想とされた世界でした。
そして、まだ本当の恋を知らない青年たちには、いずれ来る本物の恋の喜び
を教えてくれたのが太田裕美という世界でした。

プログレッシブロックを聴き、シンセサイザーの音の可能性を強く主張していた
友のレコードラックにも、ロックンロール小僧と化した友人も、もちろんフォーク
仲間たちも、このレコードを聴いていた。

歌謡曲と割り切るには美しすぎ、せつなすぎ、そこにあるあこがれを共にできる
あこがれの恋愛世界がそこにあったのです。

太田裕美の作詞を担当したのは松本隆、生涯あこがれつづける作詞家が初め
担当したのが、NHKから生まれてデビューした太田裕美でした。

詞を提供されていたある人が言う、松本さんはまるで女の子なんです。
もちろんその作詞世界のことで、当時の松本隆は理想の恋愛世界を生きる女
の子の気持ちを書いていた。

男の子たちは、その理想に響いていたのである。

ポロンポロンとピアノを弾きながら歌う、理想の恋愛世界は当時の青年たちを
優しすぎる男たちにしてしまった。

それはその頃の女の子たちは、みな太田裕美であろうと思われたからでした。

さてその世界を聴いて育った男たちはそろそろ50代を越えるか、もしくは達し
ようとしている。 太田裕美はある時代の男たちの恋愛像をつくったひとつの
現象だったのでした。

ちなみに、ニコニコ動画で多くのアルバムを聴いて、こんなことを書いている。

50歳の青年の深い秋にも太田裕美は似合うのです。



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