冬の一番深い日に

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冬の一番深い日に

携帯メールが友のお母様の逝去を伝えた。一番深い冬の日にお
通夜に行ってきた。

通夜はかけつけるもの、礼服で行くのはがいやで、ジャケット
を着、赤いシャツを青縞に替えて伺った。

車のマルチディスプレイのつまみを回せば一桁の温度が車のガ
ラスの外にある。通夜や告別式に行った後はわがことのように
心がからっぽになってしまう。

一番深い冬はお年寄りに過酷で、それは部屋で暮らしていたと
しても心を張りつめさせてしまう。こんな目にあうならば我が
腰などいつまでも痛んでよいとも思う。春よ早く来いと願って
いる。

ピアノがポロンと鳴り出し「Love」が流れはじめる。
JOHNとYOKOの美しい写真を思い出し、そして亡くなったお母
さんの顔がウィンドウに浮かぶような気がする。

笑顔で段の上にいるお母さんは町のお好み焼き屋さんの名物母
さんとして皆に愛された。
町内の大人も子供もその笑顔に迎えられて腹を満たしたものだ
った。

笑顔のお母さんの写真にはやっぱりお好み焼きの匂いがするよ
うな気がした。

どの歌のどのミュージックビデオよりも、僕はJOHNとYOKOが
仲良く寄り添って歩くLoveの映像が好きだ。

どんな複雑な演奏を重ねた音よりもポロンポロンと弾かれるピ
アノの音が好きだ。

JOHNとYOKOのように愛し合えたらいいな、そしてJOHNのよ
うにYOKOを独り残したりしないぞとも思う。

冬の一番深い日に愛する家族に送られる人の笑顔を見た。
お好み焼きの匂いの中にLoveのピアノが流れているような気が
した。

なんの成功もいらないから愛する人といつまでもいられるよう
にと思った。ピアノの音が車の中にいつまでも流れていた。


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