赤いハイヒール

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赤いハイヒール

東京という街は人がとても小さく見える街、物に埋もれ、人が溢れ、自分のことを
知る人など、どこにもいないと感じる街なのだ。

かつて東京に住み、どこに移動する時も、あまりにいろんな人がいて、顔を覚える
ことなく、人ごみにもまれて電車に乗っていると、このまま自分などいなくなっても
誰も心配しないのでは?

ふと、そんなことを考えてしまう街だった。

今晩はあの頃の青年たちの理想の女性像だった太田裕美さんの話なのです。

彼女は地方から東京や神奈川あたりに出てきた娘をテーマに歌を演じていました。

勝手な解釈で、彼女は静岡県あたりから上京して働いている子だと思いこむ。

なぜなら、あのヒット曲”木綿のハンカチーフ”で、恋人と離れて上京する”彼”が
東へと向かう列車に乗ったから。

もちろん、僕もその中の一人だったからです。

ハンカチーフだったり、夕焼けだったり、しあわせ未満だったり、九月の雨だった
りする、そばかすの彼女は、故郷の夏休みが似合う少女だった。

少し”故郷なまり”があるのは、この地域らしくて、そういえば僕もよく遠州の言葉
とイントネーションを指摘された。
故郷なまりに気づくのも、青春のそんな時なのです。

素直で、空を見つめては、明日もがんばろう!なんて働く彼女には東京は大きすぎ
、あの頃の全員が顔も声も、素敵な思い出を共有した仲間たちの顔を思い出すの
です。

作詞家の松本隆さんは、太田裕美さんをそんな素材として詞を書き、筒見京平さん
は、その歌詞にハンカチーフのような、素材の曲をつけた。

今晩は、決して「ねえ聞いて聞いて」なんて言わないあの頃の裕美さんが歌います。

赤いハイヒール”お聞きください。

ねえ、友達なら聞いてくださる?


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