鉛色なまりいろ

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鉛色なまりいろ

冬の雪を降らせるような雲は鉛色の空と言う。
でもその色の思い出は小学校の頃の思い出に飛んでゆく。

日本の伝統色のその色と名前を見て何が書けるかに挑戦してい
ます。

気難しい職人だった父との子供の頃の遊びの思い出は夜釣りの
思い出に尽きる。
真っ暗な前浜に行き、あのカーバイトランプの臭い匂いの灯り
だけの浜で父は竿をふって魚を釣っていた。

子供の楽しみは灯りに寄ってくる小さなカニだったり、釣れて
くる魚の面白さだった、一人遊びながら父と出かけた夜釣りの
海は不思議がたくさんあるところだったのです。

父は釣りに使う錘(おもり)を自作していた。
熱く熱した鉛を型に入れてつくる錘づくりの面白さは格別で
コンロの上の鍋でドロドロに溶けた鉛を注入してつくる錘は
不恰好でも父の自慢の道具となっていた。

その錘をたくさんつくれば、またきっと父は夜釣りに連れてい
ってくれるのです。

釣れるとグウグウと鳴く「イシモチ」という魚の名と形を覚え
たり、時に小さな竿で「キス」という美しい魚のブルンブルン
と引く楽しさを教えてもらったものでした。

釣りを覚え楽しむ趣味にはならなかったけれど、あの楽しさだ
けは知っている。
そして夜の海の不思議もよく知っているのです。


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この記事へのコメント
イチローさん こんにちは
いつもすてきな文章ありがとうございます。

初めての夜釣り 思い出しました。
前浜は暗いポイントばかりですよね。

吸い込まれそうな夜の海から
グロンッ と魚が登場した瞬間
鳥肌がたったのを覚えています。

3Dテレビなんて目じゃないですよねっ
(買えないから愚痴ってみました . . . 。)
Posted by ちゃーまる at 2011年01月08日 12:08
ちゃーまるさん、いつもありがとうございます。不思議がいっぱいにあった子供の頃、私たち子供は初めての真っ暗な闇の中にたくさんのものを感じていましたね
Posted by イチローイチロー at 2011年01月08日 19:33
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    コメント(2)