イチロー的こころ（旧版）

若いなどと感じもしない頃には無我夢中で働いたり、溢れる時間を遊びに費やして
いて不思議にも思わない。

ところがふと、年齢を数えてみると、振り返ってみたくなる時が来ます。

こんばんは、音楽夜話の時間です。

かつてまだまだ若い頃、振り返るなんてオヤジくさいと”懐かしいもの”に対して反抗
をしていた。父や母がナツメロの番組を見ていると、自分はあんな顔で振り返ったり
しないぞ、なんて思っておりました。

懐かしいね、は過去の思い出に生きること、まだまだ目の前の山を登ることに夢中
な頃は足どりもゆっくりと下ることなどは考えてはみないものです。

テレビのＣＭに急に惹きつけられるのは、あの頃に聞いた曲が流れるから、そんな
時にもう今は懐かしさに浸れるようになった。

懐かしいねは、登るだけでなく下る楽しさを知ったものたちの合言葉なのです。
ゆっくりと、足下を確かめて足の親指に地面を感じて歩くならば、我々の作り上げた
腰や足や知恵はどんな道でも歩いて行ける。

知恵だけの頃と違い、長い経験が危険や行き過ぎを止め、のんびりと行きなさい、
生きなさいと教えてくれる。

そして過ぎた道を振り返り、自らを褒め、またゆっくりと歩いて行くことができるのです。

人は誰もただ一人の旅を行く、そしてたくさんの仲間と連れ添い、たった一人の大切
な道連れを見つければ、歩調を合わせて労わりながら歩いて行く。

あんなに練習したのに、しばらく忘れていた口笛を吹きながら、のんびり歩いて行くの
です。

さあ、今晩は越しかたを思い出し、またのんびりと歩くことを教えてくれる歌を聴きま
しょう。

かつて歌った頃より、本当の教えが見えてきます。

それでは、はしだのりひこさんで「風」、お聴きください。

そして、聴き終わったらそっと振り返る、そこには連れそう道連れがいらっしゃるで
しょうか？

優しくいたわりましょうね。