学びかえし

カテゴリー │焼きモノ書き

学びかえし

おいしいものを少し乗せ、屋外に置いた椅子に座り、お気に入りの本を開けば
落ちるように本の世界に転がり落ちてゆく。

インターネット時代となり、なにもかもがわかったつもりでいる。
じつはどこへでもスキップし、サーフィンするネットの中の世界より、一冊の本の
世界の誘いこまれて落ちてゆくのを好む。

せわしなく移動する名所めぐりも見聞を広げるのにはよいのですが、本はひとつ
の世界を訪ねてじっくり楽しむ世界なのです。

高台鉢を見ての連想としては貧困なのだが、高床式と言う興味があります。
あの正倉院のように高床式となった旧い倉庫、宝庫の床を支える柱に施された
ものにネズミ返しというものがあります。

ネズミがチュウと見上げた穀物倉庫にはたっぷりのごちそうがありますが、垂直
の柱を登っても、床に上る前には柱より広がった板を持ち、それ以上は上ること
ができないのです。

簡単な工夫なのに、かつてはたくさんいたネズミを防ぐ手段として必要とされて
いたのでしょう。

正倉院から時代は進み、戦国時代となる、城のまわりに濠をめぐらせ石垣を高く
積んだ城は敵を容易には近づかせない工夫がされています。

かつて司馬遼太郎の「功名が辻」などでも書かれたように戦国時代は功をあげ
なくては認められない、無理とわかっても敵陣深く乗り込むには濠も渡り石垣を
登らなくてはならないのです。

この石垣を上ると城の土台は石垣よりせり出してつくってあるそうです。
これが忍び返し、ネズミ返しと同じく、城と功名という宝にはそう簡単には近づか
せないという工夫であります。

本から目をあげて、まわりの緑で目を休め、高台鉢からコロリとしたお菓子をつま
む。

たまには本をゆっくり読んで学びの抽斗に知識や感動を供給しなくてはなりませ
ん。

そんなことを”学びかえし”という。

知識を上げることを阻止するものなどはないのであります。

※写真提供:「Round table」ギャラリー通信!どの


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