2006年11月07日00:51

若き頃、友人と列車に乗り北へ旅立った。
一度上野駅を発つ列車に乗って見たかったこともあり、正月休みで混雑する上野
からL特急に乗って青森まで旅をした。
東京でこそ数センチの雪が積もるのを見たけれど、盛岡を過ぎたあたりから雪が
降り始め、一面の雪景色となり、外を見ていた車窓に雪が積もり、窓が丸くしか見
えなくる。
港町の近くに宿をとり、近くの居酒屋に行き、生意気に熱燗をたのみ、酌み交わす。
流れているのは、普段聞きもしない演歌、地元の客が多い店は演歌を聴きながら
黙って酒を飲むような店だった。
この土地に生まれこの土地に育つ、それが一番よいと言われるが、浜松とは違い
若き旅行者にあまりにも厳しく暗い店に流れる演歌を聴くうちに、なぜか一緒に口
ずさむようになる。
演歌の単調な節と、決まりきった伴奏と、定番な歌詞がしみてくる。
「港、女、涙、別れ」などが定番だという歌詞をきくうちに、ハタ!と気づく。
演歌はこういう地域の人たちが聞く歌なんだ。
厳しい寒さの中で暮らし、仕事をし、疲れを癒す酒を飲む。
そこに理屈も、難しい理屈もいらないのだから。
年があけ、朝、宿の人にすすめられて港から出航する漁船を見にいったんだ。
どの舟にも、たくさんの旗が飾られ、出航したらしばらく帰ってこないのだと
言う。
港には、女たちと、子供たちがそれを見送る。
船団を組み、港の中を何週もまわった後、一隻づつ外海へ向かって行く。
舟という舟が、大きなラッパ型のスピーカーを積んでいて、威勢がいい北島
三郎さんの曲をかけている。
僕らはその勇ましさに手をふり、無事を祈った。
ふりかえるとそこには、港、女、涙、別れが、確かにあったのだ。
演歌はカッコイイ、男らしいと思った旅の朝だった。
演歌の船乗り≫
カテゴリー │音楽夜話

若き頃、友人と列車に乗り北へ旅立った。
一度上野駅を発つ列車に乗って見たかったこともあり、正月休みで混雑する上野
からL特急に乗って青森まで旅をした。
東京でこそ数センチの雪が積もるのを見たけれど、盛岡を過ぎたあたりから雪が
降り始め、一面の雪景色となり、外を見ていた車窓に雪が積もり、窓が丸くしか見
えなくる。
港町の近くに宿をとり、近くの居酒屋に行き、生意気に熱燗をたのみ、酌み交わす。
流れているのは、普段聞きもしない演歌、地元の客が多い店は演歌を聴きながら
黙って酒を飲むような店だった。
この土地に生まれこの土地に育つ、それが一番よいと言われるが、浜松とは違い
若き旅行者にあまりにも厳しく暗い店に流れる演歌を聴くうちに、なぜか一緒に口
ずさむようになる。
演歌の単調な節と、決まりきった伴奏と、定番な歌詞がしみてくる。
「港、女、涙、別れ」などが定番だという歌詞をきくうちに、ハタ!と気づく。
演歌はこういう地域の人たちが聞く歌なんだ。
厳しい寒さの中で暮らし、仕事をし、疲れを癒す酒を飲む。
そこに理屈も、難しい理屈もいらないのだから。
年があけ、朝、宿の人にすすめられて港から出航する漁船を見にいったんだ。
どの舟にも、たくさんの旗が飾られ、出航したらしばらく帰ってこないのだと
言う。
港には、女たちと、子供たちがそれを見送る。
船団を組み、港の中を何週もまわった後、一隻づつ外海へ向かって行く。
舟という舟が、大きなラッパ型のスピーカーを積んでいて、威勢がいい北島
三郎さんの曲をかけている。
僕らはその勇ましさに手をふり、無事を祈った。
ふりかえるとそこには、港、女、涙、別れが、確かにあったのだ。
演歌はカッコイイ、男らしいと思った旅の朝だった。
この記事へのコメント
私の実家でも,正月はこの写真のような光景が見られます.
竹竿に大漁旗と日の丸.
場所は違っても同じような習慣があるんですね.
竹竿に大漁旗と日の丸.
場所は違っても同じような習慣があるんですね.
Posted by いもこじ at 2006年11月07日 01:16
いもこじさん久しぶり。
ええ、男の漁場って感じ、男はいいなあ
男らしいなあと思いました、演歌が似合うのだ。
ええ、男の漁場って感じ、男はいいなあ
男らしいなあと思いました、演歌が似合うのだ。
Posted by イチロー at 2006年11月07日 11:05