粗忽名主

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粗忽名主

え~毎度おなじみの三題噺でありまして今朝もお題をいただく。

身内が出したお題に身内がつけておりますが、この三題噺は三つのお題
が出されましたら、それを使って作る即興のお話であります。
頭の体操、なかなかひねりながらこさえております。

今朝は早くから藤枝に行きまして打ち合わせ、藤枝の郊外の住宅造成地
であります荒地におりまして休憩中に三題噺を考えた。

「休憩の荒野」

なぞと言っておりますがお題は饅頭、pafume オリンピックであります。

え~、今はテレビがありまして全国展開をする店が多くなりまして、都会も
田舎もなくなりましたが、ふた昔前なんてぇ時代には地方に行きますとな
かなか面白い勘違いもあったものであります。

「今度お江戸から偉い殿様が来るそうだ」

なんてことになりますと村中で集まってご馳走を作りまして歓迎する。

お江戸の殿様は供を連れ馬でやってまいります。

畑ばかりですが殿様は先ほどから妙な匂いに鼻をひくつかせております。

供も知らない匂いに、出会いました「第一村人」に 聞いてみますと、村人は
困った。

畑には鶏のフンを撒いて肥料にしておりますが、失礼があってはいけない

「田舎の香水と申します」

と答えますと殿様は感心しております。「田舎の香水は異なにおひなり」

さて、殿のご馳走が無事終わりますと、村の名物の餡ぐるみという菓子を
出した。

これを食して殿は大喜び、「饅頭うまいぞ 土産に持たせ」とのお申し付け

さて、村の衆は困った、餡ぐるみを万と十も持たせろと言われましたから、
大鍋で小豆を煮るもの、皮をこさえるものと手分けしまして餡ぐるみを作り
出しました。

一方、殿様はいつまで待っても土産が届きませんから帰ることもできませ
んが、庭の方で「まだ千を超えたばかりじゃ、がんばれ」と名主が先導し
ての大騒ぎが聞こえる。

面白いもんじゃわいと、祭りの準備かと眺めております。

大分時間はかかりましたが、名主が現れまして土産ができたと言う。
出てみれば、大八車に山と積んだ饅頭が待っていた。

殿様は田舎では饅頭を餡ぐるみと言うのを知らず、村の衆は大いに汗
をかいてしまった。

殿は素直に万と十を数だと思って土産に持たせた村の衆の実直さに感
心してしまいました。

「ときに、名主、この村の土産としてもうひとつ、田舎の香水を姫に持た
せてくれ」

名主大層こまりましたが、鶏フンの香りなら屁に近いに違いないと、袋
に一発、大きな屁をひりまして持たせることにした。

殿は大切に田舎の香水を姫に持ち帰りましたが、あけてみると臭いば
かり、頃は夏、すっかりすえてしまい、酸っぱい臭いになったと思ったそ
うであります。

名主さん、殿が帰った後、餡ぐるみを饅頭と言うのだとわかり、えらく恥
をかいてしまった。

次に殿が村にやってくると、名主は手ぬぐいをかぶっている。

殿が不思議がって、頭はどうしたと聞けば、申し訳なくて刈ってしまった
のだという。

「かまわん、とりまっせい」殿の命令にイガグリ頭を晒した名主。

「ごりん刈りでございます」

「時に名主、せんだっての田舎の香水はすえてすっぱくなっておったぞ」

「へい、さんか(参加)するのに意義がございます」

おあとがよろしいようで、チャンチキチャンチキデンデーン。


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