小鉢の蛸

カテゴリー │焼きモノ書き

小鉢の蛸

「暑かったでしょう」と女将がオシボリを渡してくれる。

先日どうしてあの店なのかという話題になり、おしぼりを思い浮かべた。

いつもは定食のトレイに乗ってくる熱いオシボリを汗びっしょりな男には
先に渡してくれる時がある。 それはなによりもありがたく、プチッと袋を
破り、広げてまずは上を向き、顔に乗せる。

「ああっ」と声が漏れそうな快感と安堵の中にゆく。

おじさんにとってこのオシボリの話は禁句である。 オシボリをどう使うか
を詳しく言えば言うほど世の女性には嫌われるのだが・・・

快感には勝てない、ここはおじさん仲間おおいに同意いただけるのだ。

「おまちどうさま」と定食のトレイが来る。

魚がメインで、揚げ物は抑えられている。これがありがたい、油はもういけ
ない。

小鉢には酢の物、緑あざやかなキュウリに真っ赤に茹でられた蛸の白い
身を箸でつつく。

酢は夏バテによいと聞いてから、この小鉢がありがたい、時にモズク、時
にはイワシや小アジの南蛮酢、これをつつくうちに胃が起きてくる。

プチッ、時には袋ごとはざしてパーン!

向こうの男たちもおしぼりを使い、うめいている。

布おしぼり屋さんは、紙おしぼりに大して大いに有意義でおじさんたちに
勇気を与えているかを誇ってよい。
それを使う定食屋さんのまごころも熱いお絞りほどに感じるからだ。

蛸の小片を噛み、残った酢を一気に飲んでしまう。

さて、夏バテ対策が出来、おしぼりでリフレッシュしたお父さんが行く。

意気込んだところで今日は日曜日、定食屋さんはのオシボリとメシは明日
のお楽しみ。

小鉢酢の物に応援されてこの夏を乗り切ろう。

※写真提供:「Round table」ギャラリー通信!どの


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