イチロー的こころ（旧版）

三題噺とは、落語家の芸の遊びでありまして、お客様に三つのお題をいただきまし
て即席なお噺をこしらえるという。

書いているやつには考える”間”がございますがなかなか芸も洒落も必要といたし
ます。

SEAESな二人では、これを頭の体操としましてそれぞれのブログに書いていた
だき、トラックバックをかけて愉しもうという趣向であります。おつきあいのほど、よ
ろしくお願いいたします。

夏の夜空、なんて申しまして夏にはどなたもキャンプなどに出かけますと、夜に
なりまして寝転んで夜空を見上げ星を数えたりいたしますな。

なかなかロマンチックでありますが、男同士じゃあいけない、できれば女性がいい
ですな。

「あら、流れ星　私あなたとのことお願いしちゃおうかしら」　なんてのがいい。

「あら、燃料値上げ、私あなたの小遣い減らしちゃおうかしら」なんて、かかあが言
いますとロマンチックでもなんでもない。


星空の上、宇宙を旅する一隻の円盤が地球を見つます。

よくある話でありますが、ここに数億のミクロ化した宇宙人が眠っております。

なにしろ長い旅ですかから全員が起きていちゃあ、飯ばっかり食って仕方がないっ
てんで眠らせておりまして、その代表が宇宙船を運転しております、

「アノホシヲ　シンリャクスル」

なんて長き浮き草暮らしをやめまして侵略をしようってことになります。

そこで代表が地球に降りてみようってえことになりました。

さて、地球、丁度夏休みの早朝でありまして、人間の子がゾロゾロと歩いている。

夏休みは早起きいたしましょう！なんて言われておりますのは、早く目を覚まさせ
れば勉強もするだろうという知恵でありまして子供は起こされる。

起きますと、首に札をぶら下げまして近くの公園へ行くということになっております。

「チキュウジンハ　ミナチイサイ」　

確かに子供ばかり歩いておりますから、宇宙人も勘違いしてしまいます。

その後ろから今度は年寄りが歩いてまいります。

「チキュウジンハ　セイチョウガハヤイ」

確かに子供と老人ばかりが歩いておりますから宇宙人はその間がいることを知り
ません。

どこかの家にもぐりこめば、子供だけ起こしておいて、二度寝を決め込んだ母親
と父親がおりますが、地球が始めての宇宙人はそんなことは知らない。

「チキュウジンハ　シュウカイヲスル」

子供や老人が並びまして、年寄りを前に、列になって広がっております。

「手を前から上に上げて背伸びの運動！」　

威勢のいい声が聞こえまして地球人の儀式がはじまります。

「イッチニッサンシッ」と声があがりまして儀式は続き、宇宙人も最後列に
並びまして「チキュウノギシキ」を真似ております。

「イッチニッサンシッ」　「フォー」

「イッチニッサンシッ」　「フォフォー」

一人の子供が「イッチニッサンシッだよっ」と注意をしますが、宇宙人は
「フォッフォッ」と言うばかり、その上、体が堅いからうまく儀式ができません。

「おじさん、フォッって言わないでよ」、調子を狂わされまして子供が振り返り
ますとセミみたいな顔の大人が困った顔で立っています。

宇宙人困ってしまって　「ジーーーッ」と言ってみた。

なあんだ、オジーちゃんだったんだね。

かくして遠く宇宙を旅してまいりましたセミ型宇宙人の代表は地球に住む
方法を見つけたのであります。

「ジーチャン、ジーチャン、ジージー」　

地球で安心して住むにはこれが合言葉となりまして、今も夏になりますと
地球を侵略しに出てまいりますという。

バルタン星人の地球侵略のお噺でありました。

めでたし、めでたしっと