2008年08月27日09:23

え〜毎度おなじみ三題噺でございまして、落語の高座芸のひとつでありまし
て楽しんでいただこうという趣向でございます。
今回も一門であります「SEAESな二人」からの出題でございますが、このお
題を出していただいたのは”ぶん屋のお針箱”のあき姐さんでございます。
「即席」 「根気」 「焼き魚」と三題をいただきました。
さて今回はうまく噺せますか、はじめてまいります。
夫婦(めおと)なんて言葉がございまして、この夫婦がありませんと、私らも
生まれてきませんで、「め・お・と」なんて言葉はうれしいもんでございます。
今はいろんな形がありますが、結婚式をあげているうちはたくさんのお客さ
んに囲まれておりまして賑やかでありますから、本人たちも祭りみたいだ!
なんて思っておりますが、お開きになりまして人が「すっ」と退けまして、二
人きりになる。
間が持ちませんから、お茶でもいれまして「おまいさん」なんて嫁さんが呼
んでみる。
おまいさんの方も、なんだい「おまえ」なんて言う。
夫婦というものはよいものでございます。
悋気の秋刀魚≫
カテゴリー │おはなしの世界

え〜毎度おなじみ三題噺でございまして、落語の高座芸のひとつでありまし
て楽しんでいただこうという趣向でございます。
今回も一門であります「SEAESな二人」からの出題でございますが、このお
題を出していただいたのは”ぶん屋のお針箱”のあき姐さんでございます。
「即席」 「根気」 「焼き魚」と三題をいただきました。
さて今回はうまく噺せますか、はじめてまいります。
夫婦(めおと)なんて言葉がございまして、この夫婦がありませんと、私らも
生まれてきませんで、「め・お・と」なんて言葉はうれしいもんでございます。
今はいろんな形がありますが、結婚式をあげているうちはたくさんのお客さ
んに囲まれておりまして賑やかでありますから、本人たちも祭りみたいだ!
なんて思っておりますが、お開きになりまして人が「すっ」と退けまして、二
人きりになる。
間が持ちませんから、お茶でもいれまして「おまいさん」なんて嫁さんが呼
んでみる。
おまいさんの方も、なんだい「おまえ」なんて言う。
夫婦というものはよいものでございます。
いいもんでありますが、夫婦になるには「段取り」というものがございますな。
男と女の出会いなんてえものは、どこにご縁があるかはわからない。
「お前ねえ働きもんなんだけど、頑固でいけないよ、そんなことじゃあ嫁の
来てもないよ」なんて大家さんに言われておりますのが、しょうちゃんであ
ります。
「うるせい!こちとら商売を波に乗らせようってんで 出かける時にこごと
なんかいいやがって、このもうろく大家っ!」
なんて悪口雑言を言いながら「タタタタタッツ」と駆け出すように出かけて
いきます。
商売は根気が大切でございまして、ゆえに「商い(あきない)」なんて申し
ますが、商売にも波がございまして、よき波に乗ればどんどんと進みます
が、乗れませんと波をかぶりましてブクブクと沈んじまう。
加減が難しいものでございます。
ついでにしょうちゃん、ちょいと良い男っぷりでありまして、若い娘にはも
てませんが、ちょいともののわかりました奥さん連中に人気があります。
タタタタタッと駆け出していきました長屋のしょうちゃんは担ぎ小間物屋で
ございまして、抽斗(ひきだし)のついた小箪笥を担いでおります。
この抽斗には簪に扇子、袋にに蜻蛉玉、下駄に草履まで入っておりまし
て開いたところには薀蓄までつめてあるという箪笥であります。
タタタタタッと走れば、箪笥の金具がカカカカカッと鳴りまして賑やかい。
タタタがカカカ、タタタがカカカと走りまして横丁を曲がったところでドーンと
人にぶつかってしまった。
ぶつかったのは同じ町内に住む娘、「あき」でありまして、これをご縁に夫
婦になる。
不思議なもんですな、探しても見つかりませんが、ふとした縁にぶつかりま
して即席にカップルができちまう。
夫婦の縁なんてえものは不思議であります。
さて、不思議なご縁で夫婦になりまして、女将さんがおさんどんをする。
この女将さん、手に職までございまして電子ソロバンなどを教えております。
仲のよい夫婦ですから、早く帰ってきたほうが飯をつくろうぜなんて約束が
ありまして、煮炊きをしております。
頃は秋でございまして、秋の小間物が大層、奥さん連中に売れましてホク
ホクのしょうちゃんが早仕舞いで帰って参ります。
魚屋から買いました秋刀魚を焼こう、けえって来たら暖かいおまんまを食わ
せようなんてしょうちゃんが考えた。
そこへ、あきちゃんが帰ってまいります。
「あら、おまいさん、私が焼きますよ」、なんてしょうちゃんの横に行きました
からいけない。
さっきまでおかみさん連や、大家の奥様のところで商いをしておりましたら
白粉(おしろい)がプーン、紅のにほひがふわーとしております。
外の七輪の前ではあきちゃんが魚を焼き、しょうちゃんは部屋で酒を飲む。
そこへ秋刀魚が焼けてまいります。
「どうしたんでぇっ」しょうちゃんが驚きましたのは真っ黒な秋刀魚、焼きに
焼きまして炭になっちまっている。
「あんたが、あんたが白粉のにほいなんかさせてるから」
なんて言いましてワーッと泣いてしまいます。
なだめまして、今度はしょうちゃんが七輪の前に座りまして秋刀魚を焼き
出しましたが、「そうか、妬いたんだな、いいもんだね 女房妬くほど亭主
もてやせずと・・」
泣き止んででてまいりましたあきちゃんに、しょうちゃんが言います。
「焼き餅は遠火で焼けよ 焼く人の胸も焦がさず 味わいもよし」
二人で焼きました秋刀魚は、こんがりとキツネ色に焼けましておいしくい
ただきましてめでたしめでたしの仲直りをした。
「おまいさん、今度は私がやきましょう」
「たのもうか、いや、いけねえ」
「秋刀魚だけに焼きすぎたら、もとの鞘におさまらねえ」
チャンチキチャンチキチャンチキチャンチキ デンデーン
--------------------------------------------------------------------------------------------------
今も仲良し夫婦が商う小間物屋、ぶん屋が浜松は山下町にございます。
しょうちゃんは、ぶん屋の抽斗
あきちゃんは、ぶん屋のお針箱
夫婦揃いましての瓢箪印、ぶん屋をご贔屓によろしくお願い申し上げます。
男と女の出会いなんてえものは、どこにご縁があるかはわからない。
「お前ねえ働きもんなんだけど、頑固でいけないよ、そんなことじゃあ嫁の
来てもないよ」なんて大家さんに言われておりますのが、しょうちゃんであ
ります。
「うるせい!こちとら商売を波に乗らせようってんで 出かける時にこごと
なんかいいやがって、このもうろく大家っ!」
なんて悪口雑言を言いながら「タタタタタッツ」と駆け出すように出かけて
いきます。
商売は根気が大切でございまして、ゆえに「商い(あきない)」なんて申し
ますが、商売にも波がございまして、よき波に乗ればどんどんと進みます
が、乗れませんと波をかぶりましてブクブクと沈んじまう。
加減が難しいものでございます。
ついでにしょうちゃん、ちょいと良い男っぷりでありまして、若い娘にはも
てませんが、ちょいともののわかりました奥さん連中に人気があります。
タタタタタッと駆け出していきました長屋のしょうちゃんは担ぎ小間物屋で
ございまして、抽斗(ひきだし)のついた小箪笥を担いでおります。
この抽斗には簪に扇子、袋にに蜻蛉玉、下駄に草履まで入っておりまし
て開いたところには薀蓄までつめてあるという箪笥であります。
タタタタタッと走れば、箪笥の金具がカカカカカッと鳴りまして賑やかい。
タタタがカカカ、タタタがカカカと走りまして横丁を曲がったところでドーンと
人にぶつかってしまった。
ぶつかったのは同じ町内に住む娘、「あき」でありまして、これをご縁に夫
婦になる。
不思議なもんですな、探しても見つかりませんが、ふとした縁にぶつかりま
して即席にカップルができちまう。
夫婦の縁なんてえものは不思議であります。
さて、不思議なご縁で夫婦になりまして、女将さんがおさんどんをする。
この女将さん、手に職までございまして電子ソロバンなどを教えております。
仲のよい夫婦ですから、早く帰ってきたほうが飯をつくろうぜなんて約束が
ありまして、煮炊きをしております。
頃は秋でございまして、秋の小間物が大層、奥さん連中に売れましてホク
ホクのしょうちゃんが早仕舞いで帰って参ります。
魚屋から買いました秋刀魚を焼こう、けえって来たら暖かいおまんまを食わ
せようなんてしょうちゃんが考えた。
そこへ、あきちゃんが帰ってまいります。
「あら、おまいさん、私が焼きますよ」、なんてしょうちゃんの横に行きました
からいけない。
さっきまでおかみさん連や、大家の奥様のところで商いをしておりましたら
白粉(おしろい)がプーン、紅のにほひがふわーとしております。
外の七輪の前ではあきちゃんが魚を焼き、しょうちゃんは部屋で酒を飲む。
そこへ秋刀魚が焼けてまいります。
「どうしたんでぇっ」しょうちゃんが驚きましたのは真っ黒な秋刀魚、焼きに
焼きまして炭になっちまっている。
「あんたが、あんたが白粉のにほいなんかさせてるから」
なんて言いましてワーッと泣いてしまいます。
なだめまして、今度はしょうちゃんが七輪の前に座りまして秋刀魚を焼き
出しましたが、「そうか、妬いたんだな、いいもんだね 女房妬くほど亭主
もてやせずと・・」
泣き止んででてまいりましたあきちゃんに、しょうちゃんが言います。
「焼き餅は遠火で焼けよ 焼く人の胸も焦がさず 味わいもよし」
二人で焼きました秋刀魚は、こんがりとキツネ色に焼けましておいしくい
ただきましてめでたしめでたしの仲直りをした。
「おまいさん、今度は私がやきましょう」
「たのもうか、いや、いけねえ」
「秋刀魚だけに焼きすぎたら、もとの鞘におさまらねえ」
チャンチキチャンチキチャンチキチャンチキ デンデーン
--------------------------------------------------------------------------------------------------
今も仲良し夫婦が商う小間物屋、ぶん屋が浜松は山下町にございます。
しょうちゃんは、ぶん屋の抽斗
あきちゃんは、ぶん屋のお針箱
夫婦揃いましての瓢箪印、ぶん屋をご贔屓によろしくお願い申し上げます。