春には母を連れて

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春には母を連れて

毎月一回、月末になると母がデートをねだる。

父の保険と母の保険を納めに信用金庫に行き、その帰りに宝くじ
を買いに行くのが母とのデートコース、墓参りも兼ねている。

梅が咲き出した農道を行き、自慢の不思議の野原の花を見せ、江
之島町の農家が畑の隅に植えている見事な梅に立ち寄ってゆく。

「角館のお殿様は昔、武家屋敷に言って枝垂れ梅を屋敷から外に
垂らすようにさせたのよ」と母が言う。

だから僕は農家の皆さんが道沿いに咲かせる梅を見せて歩く。

「こういう気持ちがうれしいね」と母は農家の咲かせた梅にメジ
ロを探している。

すっかりうれしくて先日見つけた一番のレンゲ草の田んぼを見せ
に回った。
母は子供の頃に一面のレンゲに埋もれて遊んだ話をする。

僕も同じ記憶の中でレンゲに埋もれたあの緑の匂いを反芻する。

誰かの為に咲かせた花は尊いものです。
それに気づき、感謝する母の子であることを誇りに思います。

宝くじを買い、お墓に手を合わせて孫の大学合格を感謝する母。

お祝いを届けに今度春霞の富士宮へ行こうかと話が弾む。

母とのデートは富士宮の富士を見に行く旅、11人の孫それぞれ
を心配してはいる母へのご褒美です。


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