イチロー的こころ（旧版）

小さい秋みつけたの詞に「とかしたミルク」が出てきます。

「お部屋は北向き　くもりのガラス　うつろな目の色　とか
したミルク」と続くこの詞に「風邪ひき」を感じています。

風邪で熱を出し、遊びに行けない子供がお布団の中で温めた
ミルクを飲んでいる様子です。

じつに久しぶりの風邪をひいてしまい、それが母に移りして
暖かい部屋にいる。思いついて牛乳を温めてホットミルクに
してみた。
温めただけで甘い香りがする牛乳を飲んで思い出したのです。

眠る前にホットミルクを飲めば心が落ち着いて眠りにつくこ
とができると聞いたことがあります。

外に行けない大人も「取り残されるような気持ち」の中でホ
ットミルクを飲めば心がゆるく溶けてゆく。
急ぐこともないのです。

かつて放映された「ロングバケーション」という番組は長く
将来への道に迷っていた青年が女性と出会い、目指す道へ旅
立つまでのドラマでした。

その長い迷いの日々を「ロングバケーション」というタイト
ルにこめていたのです。

人は人生の中で迷うことが多くあります。今の停滞に遅れへ
の怯えを持ち、あせりからまた迷いを深めてゆく。

ドラマは教えます。
迷いの時期こそ「ロングバケーション」だと思いなさい。
そしていつか旅立つ時に立ちなさいと言うのです。

焦る時はそれを「長い休みの中」と思えばきっと立ち上がる
ことができるのです。

温めるだけで甘いホットミルクをカップに一杯。
ちょっとしたバケーションの中にいるのです。